話し始めた最初は「全くお揃いじゃなくてもいいんです」と、
お二人おっしゃっていましたね。
だけど最後に選ばれた形は、
2つで1つであることを大切にした、テクスチャー違いのお揃いの形でした。
リング表面をつるんとした1面ではなく、
長くラインを2本伸ばし切り返しをつけ、2面作ったAllegro《アレグロ》が、
お二人共通の好み。
1面はフラットに仕上げ、1面は手打ちで1つ1つ作り上げる、
槌目春でお仕立てしました。
そしてそれぞれこだわりが違ったのは“槌目模様”の見せ方。
男性は槌目の1面1面の風合いがわかるよう、
ホーニングというマット仕上げでお仕立てしました。
手打ちの面がよりくっきりと顔を出し、手仕事のあたたかさを感じます。
女性は男性とは逆に、光沢でお仕立てしました。
たくさんの面が光に反射する事で、キラキラと輝く槌目がお好きでしたね。
「これならダイヤモンドもいらないですね」と、
お話しした事を覚えています。
男性女性どちらもお好きな槌目模様がより際立つように、
もう1面は槌目と逆の風合いで仕上げたのもこだわりです。
「一緒に考えてくださってありがとうございました!」
「二人でリングが本当に素敵で、喜んでます!」と、
あたたかなお言葉を最後にくださった女性。
お揃いではなくてもいいかなと思っていたけれど、
最後は同じ形になりとても嬉しそうにされていたお二人を思い出しました。
お二人のリングの内側には「愛を伝える石」、
“ムーンストーン”が留まっています。
お二人の愛がいつまでも変わらずあたたかなものでありますように。
つくり手/ 平島 郁美
Male:マリッジリング/K18WG(ホワイトゴールド)
Female:マリッジリング/K18PG(ピンクゴールド)