ご入籍と新婚旅行を終え、そろそろ指輪を探そうと、仲良くペアリングを着けたお二人がアトリエを訪れてくださいました。
ご愛用中のペアリングは、ひねりの入ったデザイン。思い出のペアリングを思わせる、お二人のツイストデザインの結婚指輪づくりのエピソードをご紹介いたします。
立体感が特徴的、珍しいかたちの結婚指輪
お二人が選ばれたのは、《メビウス ドゥーエ》という結婚指輪もひねりの入ったデザインの指輪です。
無限 “∞” をモチーフにしたかたちを、珍しいと気に入ってくださいましたね。大胆なひねりから生まれる立体感がお二人の一番のお気に入りポイントです。
そして、お気に入りのツイストフォルムを活かすために、“マットとツヤの2種類の質感で、二面性を出したい” とお二人からアレンジご要望をいただきました。
珍しさを感じた、繊細なマット加工
たくさんあるマットなテクスチャーの中から、お二人が選ばれたのはメーゼと呼ばれる繊細な質感でした。指輪に当たる光が柔らかく移り変わる様子を気に入ってくださり、指輪に取り入れることになりましたね。
ツイストされた指輪のトップ部分は艶やかな鏡面仕上げに、それ以外のリングアーム部分はセミマットなメーゼ加工で仕上げることで、お二人が気に入っている《メビウス ドゥーエ》の立体感がぐっと引き立ちました。
和を感じる彫り模様でお二人らしく指輪をアレンジ
いろいろなデザインの指輪を試着する中で、お二人が興味を持たれたデザインのひとつが、“和彫り” という日本の伝統技法を使用した指輪でした。
実はお二人は、元から和のデザインがお好きで、結婚指輪を探しはじめた時点では和テイストの結婚指輪を考えていらっしゃいました。
そんなお二人のお好みを受け、手の平側に1パターンだけ模様を彫ることもできることを、つくり手の私からご提案しました。
そんな流れを経てお二人が選ばれた模様は、和彫りの輝きを一番強く感じられた《アニス》です。
和彫りのアニスは、職人が一つ一つ彫刻刀のような道具で彫り込んで仕上げています。力の加減で線の太さが変わるため、彫る作業は筆で字を書く感覚に似ていると言われています。
お二人は、コシのある強い光り方を特に気に入ってくださいましたね。
手の平側に彫ることで、表面のひねりのデザインを妨げることなく、お気に入りの和彫りを取り入れることができました。
末永く一緒に身に着けるお守りのような結婚指輪
ご納品後、「世界で一つだけの素敵な結婚指輪を作ることができました」とお二人からメッセージをいただき、とても嬉しく思います。
実は《アニス》は、スターアニスというハーブをモチーフにしており、昔の人はハーブをお守り代わりに持ち歩いていたという言い伝えもあります。
お二人にとっても永く身に着ける結婚指輪が、唯一無二のお守りのような存在になりますように。