「S字カーブが気になります」という男性と
「人とかぶりたくないんです」という女性。
それぞれのお好みやこだわりを持って、
アトリエへ来てくださったところから
お二人の指輪づくりが始まりました。
ちがう理由からひとつのベースに
S字カーブが気になっていた男性は、
ご試着中に、あるお気持ちが芽生えてきましたね。
“なにかアクセントがほしい”
そして、“なにか”がトップのボリュームだと気づき、
選ばれたのが《マルカート》でした。
一方ご試着前は、
ストレートがいいと言っていた女性ですが
選ばれるのは動きのある指輪ばかり。
「着けてみると、
意外と動きのあるリングが好きなのかも⋯」
そうおっしゃった女性が
選ばれたのもまた、《マルカート》でした。
「流れるラインが好き」
と好きなポイントも教えてくださいましたね。
自然と重なったこだわり
お二人は夫婦漫才のような息ぴったりの会話で、
ご試着中にたくさん話し合いをしてくださいました。
気づけば女性の“人とかぶりたくない”というこだわりが、
いつの間にかお二人のこだわりになっていきましたね。
男性:ホーニング・《槌目 秋》/ 女性:メーゼ
それぞれ好きな質感を選び、
一番よく見えるひねり部分には
お二人ともツヤっと輝く鏡面を残しました。
お二人が同じ方向を向いてデザインを考える姿は、
キラキラ輝いていてとても素敵でした。
お二人の印をこっそりと
デザインが完成に近づいたとき、
「せっかくなら、反対側でも楽しみたいな」
と男性からお話がありました。
そして男性はご試着の中でご興味を持たれていた
“星の飾り彫り”を反対側に入れることに。
「それなら」と、
ダイヤモンドの数を悩まれていた女性も
ダイヤモンドを1石に減らし、
“星の飾り彫り留め”でお留めすることになりました。
男性の指輪をクルッとひっくり返すと⋯
お二人の"印"が違う場所で
こっそり輝く結婚指輪、素敵ですよね。
よりお二人の指輪ということを
"印づける"アレンジとなりました。
実は《マルカート》には
“印をつけるように演奏する” という音楽用語から、
デザインに “二人の印” という意味を込められています。
そんな《マルカート》の意味のように、
お二人らしさの”印”になる一組になりましたね。
「このデザインは俺らだけやろ〜」と、
嬉しそうに話されていたお二人。
これから何十年と身につけていく中で、
たくさんのお二人の印を指輪に刻んでいってくださいね。
つくり手 百瀬