はじめは、表参道アトリエでご婚約指輪の制作をお任せいただきました。
とても明るく、笑顔が素敵なお二人だったことが印象的です。
普段使いを重視して選ばれた、ミル打ちがきらめく《アロー》は、
5月のご旅行に合わせてお仕立てしました。
ご婚約指輪のご納品から1年弱、
今回はご結婚指輪の制作のご相談に、私の在席している新宿アトリエにお越しくださいました。
『普通』すぎない結婚指輪
"王道の結婚指輪"というより、少しカジュアルで
普段の服装などにも合わせやすく、
でも派手にならずに、ずっと着けていられるもの。
WEBで気になったデザインは画像を保存されていて、いくつか見せていただくと、
どれもイエローゴールドの素材で、つや消しの質感でした。
お二人にはさまざまな種類の加工をひとつひとつお手元で試していただきながら、
どんなつや消しが良いかお考えいただきました。
ほどよいツヤと使い込んだようなぬくもり
たくさんの中から、お二人が最後まで悩んでいたのが《ロチア》と《槌目 秋》
どちらも共通して、少しツヤが残る落ち着いた質感で、
手仕事のあたたかみを感じられるデザインです。
似ているようで少し違うふたつ。
これから長い時間をともにする指輪にはどちらがよりふさわしいか、
お二人で真剣に考えてくださいました。
そして選んだのは《槌目 秋》
ロチアに比べて凹凸があり、輪郭がくっきりとした平打ちフォルムが
メリハリを感じさせます。
フォルムも質感もお二人で揃えて、女性の指輪には大粒のダイヤをお留めしました。
せっかくなら大粒で、存在感が出るようにしたかったので、
正方形のプリンセスカットダイヤをひし形の向きに石留め。
インパクトのあるデザインに仕上がりました。
使えば使うほどお手元に馴染むのも楽しみに
日々身につける結婚指輪は、生活とともにお手元に馴染んでいきます。
少しずつ変化していく指輪を楽しみに、
ふとした瞬間にithのアトリエで過ごしたことも思い出していただけたら嬉しいです。
つくり手 櫻井