今日が仕事納めのithのアトリエ。
世の中全体がコロナへの向き合い方を模索するなか、11月に新宿アトリエ、12月に大阪梅田アトリエがオープンし、年末にかけて大忙しの年になりました。
ithの最初のアトリエは、吉祥寺の駅から10分くらい歩いた細い路地に建つ、ビルの1階にある小さな部屋からはじまりました。
6畳ほどのスペースで、指輪をつくる作業用の彫金机と、お客さまが座る2人掛けのソファーとテーブルを1つ置くだけで部屋がいっぱいになる広さです。
お客さまと私の3人が机を囲んで座り、デザインについて相談するときは文字通り、膝を突き合わせて話し合っていました。
1つずつのサンプルの指輪を試着してもらいながら、結婚指輪をどんな形にするかに職人として携わることはもちろん、会話を重ねていきながら、自然にお二人の人柄や、指輪に込めたい想いを理解することで、どれだけ理想を指輪に込めることができるか、お客さまと職人という関係を超えて、本音で話し合っていい指輪にしたいと真剣に考えて向き合う日々でした。
そんな吉祥寺からはじまったithが、今年に入って新宿と梅田にアトリエを構えることが決まりました。
社内外たくさんの仲間の力を借りて準備に向かうなかで、完成まではどこか他人事のような、現実ではないような気持ちでオープン前のアトリエを眺めていましたが、アトリエがはじまって、お客さまとつくり手が指輪について相談している光景を見ると、新しい場所でithがはじまったことを改めて実感します。ここでもどんなご縁や出会いがあるか、わくわくしています。
新宿、梅田のアトリエは、広々とした開放的な2階建てのアトリエです。それでも、吉祥寺ではじまった頃と同じように、お客さまとつくり手の距離は近く、何でも遠慮なく話し合って本当にいいと思える指輪をじっくり探すための場所になるよう、アトリエの空間や机の配置には気を配っています。
新しいアトリエや、コロナのなかでお客さまをお迎えするための様々な取り組み。
大変な時期だからこそ今までにない新しい歩みをはじめましたが、アトリエの数や規模、時代に合わせたやり方が変わっても、小さな机にお客さまとつくり手が向き合って、ああでもない、こうでもないと話す豊かな時間は、変わらない価値として大事に守っていきたいと思います。
来年の2月には、福岡天神にアトリエがオープンします。
新しいアトリエでも、たくさんの想いの宿った指輪が生まれるのが楽しみです。
良いお年をお迎えください。
ith 高橋亜結