日常使いにぴったりな、カジュアルなデザインの結婚指輪を選ばれたお二人のエピソードです。
お揃いであることは重視せず、お互いにお気に入りのデザインをベースに、表面の質感や模様までじっくりこだわってアレンジを加えました。
すでにお持ちの婚約指輪と重ね着けのコーディネートも楽しめる、特別なデザインが完成するまでの様子をご紹介します。
婚約指輪づくりを経て、結婚指輪制作がスタート
お二人のリング制作に携わるのは、今回で二度目でした。初めは男性お一人で来訪されて、婚約指輪を制作しましたね。
女性とお会いするのは結婚指輪づくりのタイミングが初めてで、アトリエでお会いするときは、少し緊張したことを覚えています。
仲睦まじくデザインを選ぶお二人が選んだのは、普段使いしやすいカジュアルなデザインでした。
デザインアレンジを加えて、もっとお二人らしく
男性が選んだのは、側面に月桂樹の葉の彫り模様が施されたAlloro《アローロ》です。
こちらをベースに、さらにデザインアレンジを加えることに。
反対側の側面には、細やかな槌目(つちめ)模様を施しました。槌目模様は、職人が指輪の表面に繰り返しハンマーを打ちつけることで、手仕事で生み出される模様です。
女性が選ばれたデザインはLoto《ロート》です。
指輪全体ぐるりと取り囲むセンターラインは、よく見ると丸く小さな粒状の装飾でできています。“ミル打ち” と呼ばれる、古くはヨーロッパのアンティークジュエリーにもとりれられている技法で施しました。
柔らかな艶消しの質感は、女性ご自身の柔らかでカジュアルな雰囲気にぴったり。男性もよく似合うと喜ばれていましたね。
日常使いを大切に考えたお二人の結婚指輪は、毎日の生活に溶け込む特別なデザインで完成しました。
婚約指輪との重ね着けも、ますます楽しんでいかれてくださいね。
お二人がアトリエで話してくださった通り、次はベビーリングの制作に携われることを楽しみにしております。
つくり手 平島 郁美